蜘蛛キライ

数ヶ月前、全長5cm弱、体躯が黒光っていて強面な感じの蜘蛛がリビングに出没した。
私は昆虫はまだしも蜘蛛はキライ。ナカヨシくんはどうやら私以上に大キライらしい。繊細だからな。
最初は新聞紙を丸めてバシッとやろうと試みたけど、思いのほかトリッキーな動きをするのと、近づかれたら近づかれたで怖くてこっちが逃げちゃうので、全然捕まえられなかった。
そこで、ナカヨシくんが持ち出した最終兵器がハンディクリーナー。
普通の掃除機では難しい場所の髪の毛やらホコリを掃除するのに使っていたソレで一気に吸引。
宿敵の蜘蛛はあっさりと吸い込まれていった。しかし、そのクリーナーはバッグレス方式なので、いずれは蜘蛛との対面が待っている。
「すぐに死ぬよ。」というナカヨシくんの言葉がどうにもこうにも信じられず、ハンディクリーナーも使う気になれず、開けて中身を捨てることもできずに放置プレイ。
しかし、引っ越しを間近に控え、そろそろ使わざるを得なくなったので、諦めて充電して使ってみた。
…フル充電したのに全然吸い込まない。一体中はどうなっているのかしらん?
恐る恐る開けてみると、いきなり蜘蛛の亡骸とご対面。そして、中のプラスティック以外の部分全面にはこれでもかというほどビッシリと張り巡らされた蜘蛛の巣が。フィルターが見えないくらい分厚く。
しかも、吸い込んだはずの髪の毛やらホコリは一切残っていなかった。
…ここからは私の予想。おそらく吸い込まれた蜘蛛は、中にあったゴミをすべて食べ、獲物を捕らえるために巣を張り巡らし、そして私が全然使わなくなっちゃったから餓死しちゃったのではないかと。
ヒーッ!コワイ。
使い続けていたら、まだ生きていたかもしれない…。